1日1000円生活を長年、実践中の著者の考えや生活の詳細を淡々と綴ってある本。自分で選んだ生活であるという潔さ、自由な心が感じられる。著者は画廊勤務や美術館で学芸員勤務という経歴であり、美術評論を職業としている感性の持ち主だから、少ない所有物で質素にセンス良く暮らせるのかもしれない。。。(凡人が同じ金額で暮らしたならば、貧乏たらしくなりそうだが)
読後ふと、お金が有り余る贅沢な生活も、ストイックな生活も、発想一つで満足度には変わりなく暮らせるのかも?という気さえしてくる不思議な感覚があった。引越しの際、家具の移動に苦労した経験から、最小の道具数で生活しているため、工夫とアイディアで乗り切っている部分が面白い。食器戸棚の代用として洗濯ネットに食器を収納しているあたりは、キャンプのようだ。「永久鍋」「永遠の一鍋料理」のレシピも意表をつかれた。
禁欲的な生活の中にも「魅了されるものは、密かに、いつもそれが好きだと心に明記しておいて、そういう対象があることを幸福に思いながら・・・(中略)、また、どのように賛美すればいいかも考えるのも好きだ」という心のあり方が印象的でした。以下は本の中からの抜粋です。
■欲しい物は買わない
仕事終了後、時間と体力があったので繁華街を歩いてみる。なにも買わなかった。「欲しい物は買わない」習性が、ここ10年で身についたらしい。その訓練法は多角的にその魅力的な品物をみて見極めることだ。
手に入れたときのことも予想してみる。そして数回使ったあとのことも必ず想像する。収納場所や経済的しわ寄せについても思いを馳せる。さらにその魅力的な品物は当世流行の形態ではないかを見定める。「流行とは時期が過ぎれば滑稽でしかない」というのが私の持論。だが「流行は繰り返す」のも事実だろう。その場合、たとえば2,30年先の次の流行時まで心理的にも持ちこたえられるかまで考える。一生愛でられるほどの物なら購入可。